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習慣新書

新書を片っ端から紹介していくブログです。1年間に200~300冊程度紹介するのを目標にしています。

メディアのアンフェアさを理解するのに最適の書 『護憲派メディアの何が気持ち悪いのか』(PHP新書) 潮匡人

この本は平和安全法案が成立する直前に書かれ、成立直後に出版された。

 それゆえ、デタラメな報道を繰り広げる潮氏の怒りがよく表れている。
 私は、他人を「気持ち悪い」と誹謗することを良しとはしないが、自称平和主義の護憲派に差別され続けてきた元自衛官ならそれも許されよう。

 昨年の夏は、頭の悪い若者達が大騒ぎし、それをTVメディアが取り上げて、「集団的自衛権」が認められれば、すぐにでも戦争が始まるかのごとき報道がなされていた。

 だが、集団的自衛権が問題になったのは安倍政権が誕生して以降ではない。

「政府見解としては、集団的自衛権は保持しているけれども、憲法上、それは行使できないということになっています。これを踏み越えることができるかどうかが一番の肝です。」「自衛隊をきっちりと憲法の中で位置づけなければなりません。」「いまだに、何か事が起こったときごとに、特別措置法という形で、泥縄式に対応しています」

 本書で紹介されているこれらの言葉は、すべて野田佳彦元総理の著書(『民主の敵』新潮新書)からの引用である。

 しかし、野田民主党政権の時にテレビや新聞が大騒ぎをした記憶はない。

 これひとつとっても、日本のメディアがいかにアンフェアかがよく解る。

 本書は、平和安全法制以外でもIS(自称「イスラム国」)に関する報道姿勢にも疑問を投げかける。
 彼らは純然たるテロリストであるにも関わらず、彼らがシャルリー・エブドを襲った際に、多くのメディアは、あたかも「喧嘩両成敗」的報道をした。

 これに対し、潮氏はハンナ・アーレントの
「自由が脅かされるときに闘いに参集することができない者ならば、そもそもどのような闘いにも集うことはできないだろう」
 という言葉を引用して批判する。

 シャルリー・エブドの記事は下品で不愉快だが、下品な言論誌だからといってテロにさらして良いという理屈はなりたたない。それなら、古い事件だが朝日新聞もそれにテロを仕掛けた赤報隊も「喧嘩両成敗」になってしまう。

 こういう当たり前の理屈や事実を積み重ね、この国の護憲派メディアには知性も品性もない事を立証する良書である。